コンシェルジュ紹介 弁護士 鈴木英之

これまでに関わった事案で、特に印象的な不動産トラブルはありましたか?

特に印象に残っている件は2件です。
1つは銀行の代理人として、債務者がお持ちになっているビルや本宅を第三者に売却していただき債権を回収する、という事件です。債務者は払いたくないし銀行は払ってほしい、と双方の利益が対立する中で互いに主張の綱引きがあったのですが、最終的には双方にメリットのある形で和解することができたんです。
契約も紛争も自身の最大限の利益を図る準備や計画は必要ですが、最終的に本当にどこまで突っ張っていいのか、相手はどういう利益状況なのだろうかということを考えると、上手くいくタイミングというものがあるんですね。この件もバブルがはじけきったころだったらどうにもならなかったでしょうけれど、この時はもしかしたら不動産の価格がこれから動くんじゃないかという時期でしたので、そこを見計らって上手く和解に持ち込むことができました。たまたまという要素もあったでしょうが、やはり不動産の取引はタイミングをきちんと測る必要があると感じた事件ですね。

もう1つは、建物や土地に少し問題があったにもかかわらず売主が黙っていたために知らずに買ってしまったという事件です。この時は長い裁判になって、最終的には裁判所も20%の損害賠償を認めてくれたんですけれど、事件を通して、やはり取引は正直に公正に臨むべきだと感じました。私も売主になるときにはどこまで説明すべきか悩むことがありますが、せっかく縁があって契約をするのであれば、気持ちのよい取引を心がけるべきです。良いところも悪いところもきちっと説明してそれで納得して買っていただく、という当たり前のことができるかできないかでトラブルを防ぐこともできるわけです。良いところも悪いところも虚心坦懐に説明をするという日本人の持っている商道徳なのかもしれませんが、正直の方が最終的にトクをするのではないでしょうか。この件も、結果的に裁判で20%の損害賠償させられるのと、最初から2割安く売るのとでは弁護士の費用の分だけ安く売ったほうが良かったんですよ(笑)。特に一生のうちに何回かしか不動産取引をしない個人の方であれば、有利も不利も含めて正直に公正に取引に望まれることが良い結果を生むんじゃないかと思いますね。

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